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仙台簡易裁判所 昭和58年(ハ)3969号 判決 1984年3月15日

原告

株式会社ジャックス

右代表者

河村友三

右訴訟代理人

宇野聰男

外二名

被告

大泉茂

被告

佐藤菊治

被告

石垣正男

主文

一  被告らは原告に対し、連帯して金二五万一七六二円を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は被告らの負担とする。

四  この判決は第一項にかぎり仮に執行することができる。

事実及び理由

一請求の趣旨

被告らは原告に対し、連帯して金二三万一二三五円及び内金二〇万七〇八一円に対する昭和五八年六月二八日から完済まで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。

二請求原因の要旨はつぎのとおりであるが、原告の請求原因事実中遅延損害金の支払いを求める部分を除き、被告らは本件口頭弁論期日の出頭しないので、請求原因事実を自白したものとみなすべく、右事実によれば本訴請求は借入残金二〇万七〇八一円及び保証委託料残金二万四一五四円合計金二三万一二三五円の支払いを求める限度で理由がある。

ところで、原告の遅延損害金の請求は、民法四六〇条二号本文に基づき保証人が求償権を事前行使するものであつて、この場合における求償債権の額は、特別の事情のないかぎり、すでに発生の遅延損害金と解するのが相当である。したがつて、本件は、被告大泉茂が訴外会社から借り受けた借入残金二〇万七〇八一円の支払を怠り分割弁済の期限の利益を失つた日の翌日である昭和五八年六月二八日からすでに発生したことが記録上明白である本件口頭弁論終結時の昭和五九年三月一日まで年14.6パーセントの割合による遅延損害金二万〇五二七円(円未満は切捨て。)の支払いを求める限度において理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却する。

1  訴外第一生命保険相互会社(以下、訴外会社という。)は、被告大泉茂に対し昭和五七年一月二五日金七一万円と利息金七万六六八〇円(年10.25パーセント)を加えた合計金七八万六六八〇円を次の約定で貸し付けた。

(一)  支払日支払額 別表1記載のとおり

(二)  遅延損害金 年利14.6パーセント

(三)  期限の利益喪失約款

被告大泉茂が右支払を一回でも遅延したときは、訴外会社からの通知催告の手続なくして当然に期限の利益を失う。

(四)  返済方法

同被告は月々の返済金を訴外会社が返済金の取立受領を委任した原告を経由して訴外会社へ支払う。

2  被告大泉茂は原告に対し、昭和五七年一月二五日次の契約条項を承認のうえ前項の契約にもとづく同被告の訴外会社に対する債務を連帯して保証することを依頼し同原告はこれにもとづいて、昭和五七年一月二五日訴外会社に対し、連帯保証をした。

(一)  同被告が訴外会社に対する返済義務を怠つた場合は、原告が同被告に対し通知催告をせずに保証債務を履行しても同被告は異議がない。

(二)  原告が保証債務を履行したときは、同被告は原告に対し求償債務につき保証債務履行の日の翌日から完済まで年29.2パーセントの割合による損害金を支払う。

(三)  同被告が借入金の支払を遅延し分割弁済の期限の利益を喪失したときは、民法四六〇条二号により原告が訴外会社に代位弁済前であつても同被告に対し求償を行使できるものとする。

(四)  同被告は右保証委託を依頼するにつき、原告に対し金八万三〇七〇円の保証委託料を別表1記載のとおり支払う。

(五)  同被告が保証委託料の支払を怠つたときは、保証委託料の分割弁済の期限の利益を失い残額を一時に支払う。

3  被告佐藤菊治、同石垣正男は被告大泉茂が原告に対し負担する債務につき被告大泉茂と連帯して支払の責を負う。

4  しかるに被告大泉茂は昭和五八年六月二七日分の借入金および保証委託料の支払を怠つたので昭和五八年六月二八日限り訴外会社に対し借入金、原告に対し保証委託料についてそれぞれ分割弁済の期限の利益を失つた。

5  よつて、原告は被告らに対し、連帯して借入金二〇万七〇八一円及びこれに対する昭和五八年六月二八日から完済まで年14.6パーセントの割合による遅延損害金並びに保証委託料残金二万四一五四円の各支払を求める。 (小松弘二郎)

別表1<省略>

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